ハウスメーカーを追求するかで“今後”が決まります

「とにかく一番普通に見えたものをつけました」。
そのために気に入らないことがいくつかある。 できれば壁はペンキを塗りたかったが、白の壁紙で妥協した。
階段はごついスチール製のものにしたかったが、見積もりを聞いてあきらめ、普通の木製のものにした。 蛇口もシャワーヘッドも気に入らないので、お金に余裕ができたら替えるつもりだ。
妥協して選んだ洗面ポールは白、ドアも装飾なしの一枚板。 照明は天井はめこみのダウンライトだけにした。
たしかにインテリアでは妥協しているが、そのほかは妥協なしに“好きなもの”だけに囲まれてTさんは生活している。 第一、この家には“意味のない飾りもの”がない。
鉢植え、旅行のおみやげ、会社名の入ったカレンダーなど、趣味や部屋の雰囲気には合わないけれど、捨てるのも惜しいからといって置かれたものがない。 一見雑然と置かれているようでも、すべてきっとTさんにとっては意味があるのだろう。

そう思える。 そういう点が男の人の家だなあ、と感心して眺めた。
女の人だとこうはいかない。 たとえコレクションであっても、意味のあるものよりも、見た目にきれいで可愛いものを、きちんと並べることに精力を費やしそうだから。
そもそも女性は生活に何の役にも立たない(失礼!)コレクションを並べるために、五千万円もローンを組んで家を買ったりはしないだろう。 玄関を入ったところに、靴と帽子を並べて見せる、という発想もなさそうだ。
ふと取材した一軒に、ミニカーのコレクションを窓辺に並べていた男性を思い出した。 彼はコレクター歴二十年を数える年季の入ったミニカー・コレクターで、結婚前には部屋の棚という棚にコレクションを飾っていたそうだ。
だが結婚して以来、コレクションの大半はダンボール箱に収納されてしまっている。 「ほんとはもっともっと飾りたいんだけれど、奥さんが部屋の雰囲気に合わなくて掃除の邪魔だというし、幼い息子がさわりたがってしかたないからね」とさびしそうに笑っていた。
彼がTさんの家を見たら、きっと嫉妬にかられるにちがいない。 実際、Tさんの友だちはみなうらやましがるそうだ。
「広いからでしょう」とTさんはいうが、それだけではない。 好きなものに囲まれて暮らせる至福のスペースを得た幸運をうらやんでいるのだ。

もしかしたら、女性も嫉妬するかもしれない。 この家の生活には、よほど「同好の士」でないかぎり入り込む隙間がないから。

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